佐々木智教
このたびの三重教区・桑名別院 宗祖親鸞聖人七百五十回御遠忌法要において、私はおつとめの係りとしてご縁をいただきました。
その中で、御遠忌法要を一同に声をあわせておつとめするという願いのもと、同朋唱和の準備をすすめて参りました。
しかしながら、私の力不足ゆえ、事前の練習も何も出来ず、内心大きな不安を抱えたまま、御遠忌当日をお迎えすることとなりました。
広い本堂で大勢の人が一斉に声を出すと、どうしてもバラバラなお勤めになりがちです。しかし、私の不安を他所にお勤めは予定通り始まると、桑名別院の本堂に響く、正信偈・念仏・和讃の声。
音声担当の方が、マイクとスピーカーを巧みに調整されたことによって、全体としてとてもまとまりのあるお勤めになったのでした。
堂内に響き渡るその声を耳にした時、それまでの不安だった気持ちが、確かなこころ強さに変わっていました。
お勤めが終わり改めてこのことを思い返すと、今回の御遠忌法要では、様々な方の姿があった様に感じました。
三重教区合唱団「ひかり」を長く指導されておられる方が、御遠忌法要直前になって緊急手術を受けることになり、合唱団の方々へ音楽法要への思いを、切々と話される姿。
また、荒れた別院境内を整備するために、黙々と砂利を運び続け、美しい白洲へと戻された方の姿。
この法要が、私の窺い知れぬところをも含めて、様々な有縁の皆様の懇ろな念(おも)いによって支えられていた事を深く感じます。
またその事は同時に、「あなたは親鸞聖人のご法事をおつとめすることに、いかに向き合おうとしたのか」と、あらためて厳しく問い返された、私にとって大切な機縁となったことに感謝したいと思います。