藤波 淳
中陰参りでの話です。御文を頂いた後で、少し話をさせていただき、門徒さんに「何か聞きたいことありませんか」と話し掛けるのですが、なかなか口を開いてはもらえません。
三・七日なのかの時でした。小学生が手を挙げたので、ハッとしました。何を質問されるのか、戸惑ってしまいました。大人なら大体の見当は付きますが、子供の質問は想像がつきません。ドキドキしながら聞きましたら、その子が「バーバは何処へ行ったんですか? 」と質問され、一瞬止まってしまいました。どう答えたらいいのか、頭の中が混乱して解りません。
私は「私にも良く解りません。でも、私はこう思います。君の中にバーバはずっといると思いますよ、どこへも行っていないと思いますよ。君を今までみたいに応援し続けていますよ」と言ってから、本当にこれで良かったのかなと思いながら、その時、たまたま鞄の中に相田みつをさんの詩集を持っていましたので、『命のバトン』という詩を読ませていただきました。
その子に「この詩を覚えておいて下さいね。私の命は私だけのものではありませんよ。たくさんのご先祖が君を応援し続けてるんですよ。だから命は大切なんです。自分の命を大切にできる人は、他人の命も大切にできますよ。苦しくなったり、悩みごとがあったりした時、一人で抱え込まないで、君を包んでくれてる人に話してください。当然バーバにもですよ。」と申しました。子供さんの一言から、住職の仕事の重さを心から感じ取ったご法事でありました。
(三重組・誓海寺住職 二〇一七年二月下旬)