藤﨑 信
先日、御門徒宅へ月参りをした際、お天気の話になり、「久しぶりに雨になりましたね」と話すと、「畑の野菜に水を撒かずに助かります」と喜ばれていました。
また同じ日に、別の御門徒宅へ月参りに行った際、同じく天気の話をすると、「草が伸びるので敵いません」と、今度は困ったと言われます。
どちらの言い分もごもっともなので、「そうですね」と返答をしたのですが、雨が降ったということに対して、人それぞれ考えが違うのです。
相田みつをさんの詩に、「そんかとくか 人間のものさし うそかまことか 佛さまのものさし」と言う詩があります。
私たちは、自分の都合で、物の良し悪しを判断してはいないでしょうか。
仏教では「我執」といって、「我にとらわれている」「執着する」「自分中心に物事を考えている」ことをいいます。
普段、日常生活する中で客観的に物事をみること、少し立ち止まって執着する自分自身を見つめなおすことの時間が、私たちには必要ではないでしょうか。
(長島組・淨福寺住職 二〇一五年七月上旬)