武井弥弘
新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
さて、明るい希望と期待を持って出発した21世紀最初の年は、奇しくも「同時多発テロ」に代表される様々な事件によって、世界中の人々を不安と恐怖に陥れました。いつまたあのようなテロがどこで起きるか分からない、炭疽菌(たんそきん)のような化学兵器がいつ忍び寄るかも分からないといった、行く先の見えない不透明さは、人間に不安を与え、恐怖でさいなみ、孤独の世界に陥れたのです。
そのような中、アメリカのある新聞は、今年2002年はニューヨークの人口が増加すると報じたそうです。何故あのような大惨事の起こったニューヨークの人口が増えるのでしょうか?そこには本来人間は何を求めているのかが証明されているように思われます。
世界の経済の中心であるニューヨークで自分の能力や力を頼みにし、自分は一人でも十分に生きていけると自信を持っていた人々が、先のテロ事件以来、不安と恐怖によって一人で夜を過ごすことができなくなったというのです。誰かと一緒に居ないと怖くて寂しくて仕方がないということから、異性を求めてカップルが誕生し人口が増えるといった内容です。
そこには、やはり人間は孤独では生きられない、誰かとつながっていたい、常に共にありたいということが基本に求められています。テロだけでなく、経済的にも世界中が危機にさらされている今日、人々が本当につながりあえる世界に目を向けなければならない時が来ています。
そのようなことを思いますと、どうしても、真宗の教えを今一度聞きひらき、真宗門徒の生活を回復しなければならない時が来ているのだと改めて強く感じます。