「法事」編
『真宗の法事』
法事とは、一般的には先祖や両親などの命日に営まれる「法要」を指し、死者の冥福を祈る場と理解されていますが、それだけの意味でしょうか。本来は亡き人を縁として、阿弥陀さまに合掌礼拝し念仏を称える場こそが法事なのです。
亡き人は生前中、喜びや悲しみ、苦悩を抱えて生涯を送られました。世間的には幸せとか不幸せとか価値をつけることもできますが、一度きりの人生に良し悪しをいうことは失礼にならないでしょうか。
阿弥陀さまは、私たちの人生の苦しみに大切な意味を見い出し、その苦に応えて本願を建てられました。その願いに出遇い、念仏申す生活を始める出発点として、大切にお経とご法話をいただきましょう。
『命日』
私たちは誰かが亡くなった日のことを命日といいます。役所へ行けば、たいてい、死亡年月日といいます。さて、それでは、なぜ「命日」というのでしょうか。
「命日」は、命の日と書きます。これは、私どもに先立って亡くなった方が残していってくださった本当の「贈りもの」だと思います。命日をご縁に仏事を勤め、その仏事に出席した私どもに、「どうか、あなたがこの世に生を受けた、その命の意味について明らかにしてほしい」と、問いを投げかけられているということ、それが「贈りもの」という意味です。法事はいのちの意味をあきらかにする日です。
渡邊 晃純(2001年度『真宗の生活』東本願寺出版)
『お内仏の荘厳(おかざり)』
打敷(うちしき)を掛け、供笥(くげ)にお華束(けぞく)という丸餅を備え、赤(朱)色の和ろうそくを用意しましょう。
他は普段どおりのお仏供(ぶっく)お仏飯(ぶっぱん)=ご飯、華瓶(けびょう)にシキミ、花瓶にお花を供えましょう。線香、焼香用の抹香(まっこう)も必要です。
Q1 法事は命日から遅らせてはいけないの?
Answer
一般に「法事は遅らせてはいけない」というのは、うっかりしてご法事を忘れるようなことがあってはならない、早めに考えるようにという戒めとして、昔から言い伝えられてきたのではないでしょうか。遅らせたからといって何か問題があるということではありません。
Q2 年忌法要の数え方は?
Answer
亡くなられた翌年が一周忌、その翌年(2年後)が三回忌です。三回忌以降は亡くなられた年を含めて数え、七回忌、十三回忌…五十回忌と続きます。(地域により数え方の習慣が異なります)
詳しくはお手次のお寺にお尋ねください。