018 過疎化地域に生きる

山崎信之

私が生活している多気町土屋というところは、過疎化が進み、高齢の方が増え、若い方が少ない地域であります。となりの松阪市内まで出るには車でおよそ三十分かかり、何をするのにも不便な地域なのです。ですので、仕事のため出ていかれた若い方々は外で所帯を持ち、帰って来られる方もとても少なくなり、現在生活されておられるほとんどの方が年金生活を送られている方になります。

そんな環境の中でも、これまでのようにとご門徒と協力しながらお寺をなんとか支えていますが、お寺の役員をお願いできる方も近年では、お寺の役以外に地区の様々な役を重ねて引き受けられるというのが現状で、例年通りしてきたことが徐々にできなくなり、お参りに来られる方も少しずつ減少傾向にあります。

しかしそんな中でも、お参りはさせていただきたいとお寺に足を運んでくださる方もおられます。その根底には、親鸞聖人より有縁の方々を通して私達へと本願念仏のみ教えが届けられているというまぎれもない事実があるのだと思います。

御同朋御同行の言葉の通り、念仏申す者、親鸞聖人の教えに学びたい者、各々が自分の関わり方でお寺に関わって下さる。それがお寺という場を実現し続けているのだと私は感じます。

現在、私のお寺には『同朋の会』と言える集まりはありませんが、一緒に歩んでくださるお同行の方々と、苦労を共にしながら、お寺を中心に、この過疎化した地域で生き抜く道を歩んで生きたいと思います。

(二〇一五年九月下半期 南勢2組 福壽寺住職)