大谷 泰
今年の二月十四日、津市で自主上映された「日本と原発 4年後」を観て、ぜひ松阪市でも自主上映したいと思い立ち、その三ヵ月後の五月八日に、『農業屋コミュニティ文化センター』で、午前・午後と二回上映し、約八百人近い人に観ていただくことができました。
私自身、映画を観て、アメリカの国策である「原子力の平和利用」の名目で、被爆国である日本に持ち込まれた原発ですが、その事故の背景は、便利な生活、経済優先を求める私たちの貪欲さと、偉大な自然も、科学技術の進歩で、すべて制御できると過信した、人間の傲慢さが生み出した、起こるべくして起こった事故ではなかったかと思いました。
人間のすることに絶対安全などということはありえないと思います。事故に対する反省は、堤防を高くするよりも前に、私たちの在り方を問うことが先ではないでしょうか。
便利さや経済性は、限りなく欲を膨らませます。「欲を少なくして足るを知る」つまり、「少欲知足」に舵を切るときです。人間も大自然や大宇宙の中のほんの一部であることを忘れています。
当たり前のことながら、日々の生活の場で忘れられていることを、改めて考えるよい機会になりました。
松阪市での上映会に当たって、多くの後援や、中勢・南勢の大谷派寺院に、多大なご協力をいただきました。
松阪市近辺に住む、小・中学校時代の同級生、自坊や代務寺院の門徒さんたちも、惜しみない協力をしてくれました。
一緒に活動してくれたスタッフの人たちや、その他にも実に多くの人に支えられながらやり遂げることができました。 有難うございました。
(南勢二組・西善寺住職 二〇一六年七月下旬)