五瀬 房子
先月、新学期を迎え、私の子供たちも新しい学年へ進級しました。
上の息子が中学生になり、普段出かける事の少ない私も、卒業式、入学式と慌ただしく過ごしました。
「当日は何を着ていく?」が、あいさつのようになり、何度もタンスの中を見たものです。
日が経つにつれ、なかなか卒業式で着ていく服が決まらず憂鬱になり、気が付くと息子の服が決まっておらず大慌てでした。
イライラしながら息子に「あなたが恥ずかしい思いをしないように頑張っているのよ」と言うと、息子は、「はいはい。頑張って」と軽い口調で返されました。
入学式でも同じことの繰り返しで、結局、当日の父兄の服装は似たり寄ったり、大騒ぎしていた自分が疲れただけでした。
「主役は息子」と頭では分かっているのに、いつの間にか「私が主役」になっていました。
息子に言われた「頑張って」という言葉は、「誰のために、何のために、頑張るのか」を問われたような気がします。
その後の生活の中でも、同じ事をくり返している事があります。「あ、また同じことで悩んでイライラしてるな」と思いますが、以前に比べて少し立ち止まると、力が抜け、自分に笑えてきます。
(桑名組・佛乘寺 衆徒 二〇一六年五月下旬)