018お仏壇

五十川映子

 自分の若い頃は、家というものは特に関心を持たなくても、何気なく成り立つものだと思っていました。しかし、今の年齢になると、これを維持し続けることは、大変な努力をしなければ難しいものだったのだと、今さらながら思います。
 
 今、自分の目の前にある問題として、後継ぎがいないということがございますが、ご門徒様の家でも同じような状態で、そこではお仏壇が問題になっています。

 ご両親が亡くなられ、娘さんは他家へ嫁ぎ、実家のお仏壇をどうしようか、と。
 嫁ぎ先へお仏壇を入れると、両家のご先祖様が喧嘩をするのでダメだとか。
 別のお家では、嫁ぎ先にお仏壇を運び入れる場所がないと悩んでおられました。
 
 ここで何が一番の問題になってくるのかということですが、ご先祖様が中心のお仏壇であれば、毎日仏壇に手を合わせている時でも、今日も一日無事でありますようにとか、色々な「頼み事の仏様」になってしまっているのではないでしようか。

 今年一〇三才で亡くなられた方が、亡くなられる前に、「今、ここに沢山の阿弥陀様が居られる」と言って、浄土に還られました。ここに真宗門徒として、お念仏を申してこられた方があったと言えます。

 真宗のお仏壇には、中央に阿弥陀如来がご本尊として居られます。しかし、このことが抜けて、先に述べた「頼み事の仏様」になってしまっているのでは迷いが生じます。

 心情的には、ご先祖様があって今がある、ということもわかりますが、阿弥陀如来が中心の生活が出来たらと思います。

(三重組・因乘寺住職 二〇一三年六月下旬)