011『心をひらく』を点訳して

松下多鶴惠

十年も前です。孫も幼稚園、小学校へと進み、一人一人と私の手を離れていきました。さて、私はこれからどのように生きていこうかと考えた時に、夫の勧めでお寺へのご縁ができ、住職様に「特伝」の5期生として、仏法を聞かせていただく機会を与えていただきました。しかし、私には難しくて本当に分からないと思いました。

近くの朋友に「仏法は難しくてよう分からんわ」と正直に話しますと、その方は「分からんでもええの、分からんでも。仏法は身体で聞くんやでな、身体いっぱい浴びるほど聞いてきな」と話してくれました。私は今もこの話を思い出し、また仏法を聞きにいっしょに連れて行ってくださったことを本当にありがたく思っています。

また、住職様にテレホン法話『心をひらく』の本を紹介しいただいて「東員点訳友の会」の会長さんに点訳をしたいと伝えますと、「いいじゃない」と快諾していただき、会員の方々の協力を得て点訳をしています。

この冊子の中で私の心に残っているのは「命を考える」という文書です。私の命、私の身近な者の命は身に染みています。でも、「どこかの犬が誰かの車に轢かれて命を落とした」というこの文を読んでハッとしました。忘れかけていた大切なことを思い出したように、慌ててそわそわしたりしました。こんなことで本当に自分の命を大切にしているのかと自分に問うてみました。目を覆うような状態であっても自分の車が轢いたのでなければ、避けて通り過ぎてしまう私ではないだろうか?そんな私が見えてしまいました。

テレホン法話により仏法が身近にいつでも聞くことができ、何度も聞けるということは安心できます。特に近頃は嬉しいことの一つです。この本の点訳本が桑名別院に置いてあります。ご利用いただければたいへん嬉しいです。