002梵鐘

林政義

明けましておめでとうございます。

今から20日ほど前、ご承知のように、桑名別院の報恩講が厳修されました。

私は、朝は弱い方で、毎月の人生講座もいつも遅刻で、到着する頃にはお勤めが始まっており、申し訳なく思っております。

その日も低音で響くような梵鐘の音を聞いて目が覚め、時計を見たところ6時でした。早速、身支度をして別院に参りました。

お朝事には少し時間がありましたので、華部屋に行き世話方の人に「ご苦労さま、おかげでお朝事に間に合いました」とお礼を申しましたところ、「林さん、それどころじゃないんですよ。先ほど鐘を撞いていたら男性が来て、安眠妨害だからすぐに止めるようにと苦情を言われたのですよ」と、困ったように答えられました。

それで「どうなったのですか」と尋ねたところ、その世話方さんは大事なお役を止めるかどうか自分で判断もできませんから、男性を庫裡の寺務所へ案内したそうです。そこでの話し合いの内容については分かりませんが、その後、別院より世話方さんには明日から鐘を撞くことは中止との連絡がきたそうです。

お朝事の1時間前に鐘を撞くことは、報恩講の行事の次第として、当然のことと思っておりましたが、一方では騒音にしか聞こえない人もいるのだと教えられました。

しかしながら、強硬に中止を迫ったらしい男性の態度に対し、現在の日本に広がる自由や権利の履き違いを感じて嘆くのは私一人でしょうか。