橘秀憲
謹んで新春のお慶びを申し上げます。昨年は、変動の年でありましたが、みなさまにとってはどのような年でしたでしょうか?
昨年12月、「ハンセン病問題を共に考える集会」に参加させていただきました。ハンセン病については、1996年「らい予防法」が廃止されましたが、法の廃止だけでは「何も変わらなかった」と回復者の方々に言わしめた私たちがいました。差別や偏見が根強いのは、それだけ間違った政策や社会の強制が、長い間、徹底していたということの現れでもあろうと思います。
一昨年2008年6月、「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律」、通称「ハンセン病問題基本法」が成立し、昨年2009年4月に施行されました。その歩みの中で、療養所のない三重県においても、この問題の解決に向けて、取り組みや課題を広げようという意味で立ち上がったのが、上記の「ハンセン病問題を共に考える会・みえ」です。私自身も今後の歩みに賛同していきたいと思います。また、輪が広がり、共に解放される日が一日も早く訪れるように共に歩んでいきたいと存じます。
岡山県にある長島愛生園の入所者であり、真宗大谷派の僧侶であった故藤井善さん(本名・伊藤教勝氏)の「人間回復のためには、隔離された人間も隔離した人間も、共に解放されなくては本当の解放ではない」という言葉を改めて受け止めさせていただきました。
一月一日の修正会でお勤めの後に拝読いたします蓮如上人の『御文』の一帖目一通には阿弥陀如来の世界に生きる大切な仲間として御同朋、共に南無阿弥陀仏の人生を歩む友としての御同行ということが、親鸞聖人のお言葉をあげてお示しくださっています。(真宗聖典 760頁)
「何も変わっていない」と彼らに言わしめてきたこの社会の中で、今立ち上がりチェンジしなければ(変わらなければ)ならないのはこの私であったと改めて考えさせられます。
御遠忌法要に向けて残すところ1年3ヶ月足らずになりました。「共に、大地に立たん」の教区スローガンを確認し、歩んで行く。そのような機会にしていきたいと思います。