天春克子
私は今年10月下旬に、夫の同年の8家族と一緒に、初めて沖縄に行ってきました。この8家族の親睦旅行は、毎年出かけており、もう30年余りも続いております。
最初の頃は若き時代で、子どもたちの海水浴が中心でした。最近では夫婦だけの参加となり、定番の温泉や観光地巡り、お土産物探しが中心となってきました。今回は久しぶりの二泊三日で沖縄本島を回りました。
旅行最後の三日目は、昼食をはさんで「ひめゆりの塔」を訪れました。バスに戻った時、ガイドさんが『ひめゆりの塔の資料館にも行っていただきましたか」と尋ねられましたが、みんな黙っていました。沖縄で生まれ沖縄で育ったガイドさんの声が、急に寂しくなったように感じられました。
ひめゆりの塔は第二次世界大戦の沖縄戦で、日本軍の従軍看護婦として動員され、アメリカ軍の攻撃で命を奪われた「ひめゆり学徒隊」の慰霊塔です。ここでは227名が犠牲になられたと、ガイドさんに話していただきました。そして、沖縄の言葉を一つ教えていただきました。「ヌチドゥ タカラ」それは「いのちこそ たから」という意味だそうです。
三日間バスで回っていますと、いろいろなところに戦争の傷跡が残り、アメリカ軍の基地が今も活動を続けています。沖縄の日常生活は、戦争や悲劇につながる危機にいつも直面しているのです。
戦争は、日本では過ぎ去ったことと思っていましたが、そうではありませんでした。今からは、私たちを取り巻く現実に注意深く目を開き、過去の歴史が語る声に、しっかりと向かい合っていかなければならないと思っております。