片岡健
天才バカボンなどで有名な漫画家の赤塚不二夫さんが去る8月2日に亡くなられました。赤塚さんの葬儀ではタレントのタモリさんが弔辞を読み、テレビでノーカット放送されました。その弔辞を少しだけ引用させていただきます。
あなたはすべての人を快く受け入れました。そのために騙されたことも数々あります。金銭的にも大きな打撃を受けたこともあります。しかし、あなたから後悔の言葉や相手を恨む言葉を聞いたことはありません。あなたの考えは、すべての出来事、存在をあるがままに前向きに肯定し受け入れることです。それによって人間は、重苦しい陰の世界から解放され、軽やかになり、また、時間は前後関係を断ち放たれて、その時、その場が明るく感じられます。この考えをあなたは見事に一言で言い表しています。すなわち「これでいいのだ」と。
以上が弔辞からの引用です。「これでいいのだ」は天才バカボンのパパの台詞ですが、私たちはなかなか「これでいいのだ」と、物事を受け入れていくことはできませんね。何か不都合が起こると、私たちは後悔したり他人を恨んだりします。「あいつが悪い」「あいつさえ居なかったら」などと恨みと憎しみがいっぱい出てきます。そして自分自身を「重苦しい陰の世界」に閉じ込めてしまっています。
どんな状況になろうとも「これでいいのだ」と受け入れる。もっと言えば「これでいいのだ。南無阿弥陀仏」と受け入れる。これはお念仏の世界に生きるということではないかと聞かせていただいたことでした。