石見孝道
夏になると、テレビで幽霊や心霊などを取り上げた特集番組が始まります。こういった涼しげな番組も暑い夏ならではの流行なのでしょう。
さて、昔から幽霊の姿には3つの特徴があると伝えられています。それは①後ろ髪が長い②両手を前に伸ばしている③足が無いことです。このことについてある先生は「後ろ髪が長いのは過去を引きずって生きている姿であり、両手を前に伸ばしているのは未来に夢を追いかけている姿であり、足が無いのは今の事実に立っていない姿である。幽霊とは過去や未来に目を向けて、大切な今の事実を見失っている私たちの生き様を示しているのではないか」と言われました。
現実を逃避した過去や未来は幻想でしかありません。すべては今という一瞬一瞬にこそ生きているのです。実はそのことを教えるための手立てとして幽霊の姿が伝えられてきたのかもしれません。ですから、幽霊を外で見て怖がることよりも、生きている私たちこそが幽霊となっていないかを心配すべきなのでしょう。
毎朝、鏡をご覧になると思いますが、その時に、もし「うらめしや」と不満そうな顔が映ったならば、それこそ本物の幽霊ではないでしょうか。