田切忍
日頃、あまり物事を深く考えない自分が、今年は「生老病死(しょうろうびょうし)」について真正面から向き合って、考えていかなければならないような出来事に出遇いました。
一つは、1月に起こりました父との死別、もう一つは、私自身の病気での入院です。
父の死については、かなりの高齢で持病もあり、何となく考えないこともありませんでしたが、現実の死を目の当たりにして、なかなかその事実を受け取れない私がありました。
また自分の入院についても、いつまでも若く病気とは無縁であると思っていましたから、大変ショックであり、何かの間違いだ、誤診じゃないかと感じている傲慢な私がありました。医者から「今すぐ、入院しなさい」と言われても「都合がついたら、今度入院します」という滑稽で、返事にならない返事をしていたのです。
生きている上で、悲しいこと、嫌なこと、望ましくないこと、いろいろな出来事に出遇います。そして、今まさに現に起こっている事実を事実として引き受けていかねばならないのですが、私の思いに振り回されて、なかなか本当に納得して、事実を事実として受け取っていけない私というものがあるなあと、前の出来事から感じさせられた次第です。