012出会い

伊藤誓英

さて春です。となれば多少なりとも出会いのある季節ではありませんか。その先には喜びや楽しみを共有しあえるような出会いとなることもあれば、性格や価値観の差異による不仲を生みだす結果となるような出会いもあると思います。

聖徳太子は十七条憲法に、誰もがそれぞれに執着をもつ存在であり、また誰もが善人と悪人の両方の姿をもつ存在でもあるとし、人間関係における衝突を通し、自分の思い込みや欠点に気づく機縁としなくてはならないと述べられました。

人間は十人十色であり、そこには十色の主義主張が存在します。それが個々の立脚点でありますが、それを絶対化することは耳をふさぐことにもなり、また一方的な視点で他者を見ることは目をふさぐことにもなるのだと思います。戦争だけでなく職場や家庭内においてもいろいろな衝突がありませんか。しかし、十色の主義主張と衝突することにより、自分の主義主張が問い直されたり、明らかになったり、バラバラだからこそ深めあえたり、豊かになったりする。それが「出会い」より開かれる世界ではないでしょうか。

春は出会いの季節であると同時に、新たなる目標を起てたりもする季節でもありませんか。「目を開けて、聞く耳をもつ」ということを心のどこかに留めて、人と出会い、その先に自分に出会い、多くの出会いから学ばしていただけるような歩みが私もできればと思います。