磯野恵昭
今年もお念仏申せる新しい年をお迎えのこととお喜び申し上げます。
今から700年程間昔、兼好法師の『徒然草』の中に、友人として相応しくないものが七つあると書いてあります。その中で嘘つきと欲張りの二つは誰でも納得しますが、他の五つに興味がそそられます。第一は身分の高い尊い人、第二は若い人、第三は病気をしたことがない頑健な人、第四は酒好きな人、第五に勇猛な武士です。
これらに共通することは、自分中心にものを考えやすく、自分の欠点や失敗を見直すことも少なく、相手の気持ちや立場を思うことが乏しいということだと思います。
自分はえらいぞ、有名だぞ、能力があるぞ、体力があるぞ、だから自分に反対することは間違っていると威張り、相手の意見を聞こうとしない人であれば、友人に相応しくないというよりも、友人ではありません。
ところで、私にはそのような傾向はないでしょうか。これは全く他人事でしょうか、どうもそうとばかりとは言い切れません。今の私は若くもなく、能力もなく、有名でもありません。でも、まだまだ私だってという自惚れが残っています。
兼好法師の言葉は一般論であるとともに、私に対して言っていることに気づくのです。
本当の私を知ることはとても難しいことです。しかし、自分を知ることは大切なことです。
価値ある、意味ある人生を過ごすために、この一年も初心に帰り仏法を聴聞し、多くの方々と慶びのお念仏を共にしたいものであります。