006迷信

栗田龍麿

今年の正月過ぎ、50才前後の女の人が相談があると言って訪ねてみえました。この女性は、東北出身で1年程前私たちの地区へ引っ越してきた方で、去年、東北地方に住む母親と妹が相次いでで亡くなったそうです。

それで妹さんの看病に行った際、なぜこんなに不幸が続くのかと、占い師の所に行ったところ、占い師から「水子の霊がたたっている」と言われたそうです。この女性は若い時に流産しており「本当にそんなことがあるのですか」と相談にみえたのです。

それでいろいろ話し合ったのですが、私が「あなたは子どもや親に悪いことがあるように思ったことはありますか」と尋ねたところ「そんなことはありません」という返事でした。「それならこの世に生まれなかった子どもも、あなたとは親子の関係であり、親の不幸を願っていることはないのでは」と話したところ「ああそうですね」と納得して帰られました。

私たちは日常生活の中でいろいろな問題にぶつかります。それを背負いきれないため原因を外へ外へと求めていくことによって、ますます苦しみの中へ入っていくのではないでしょうか。いろいろなことが起こって、うろうろするその自分を法に問うのが聞法です。

安田理深先生は、信仰とはすべてのことを背負える肩を与えられることだと教えておられます。