028お念仏申す道

森 英雄

自分をごまかす世間の道は 不安で空しい

心を豊かにするお念仏の道は 自由で明るい

これは福岡県の大牟田市在住の村上不退様よりいただいた法語です。

世間の道は「我、良かれ」という心より起こり、自分に値打ちをつけていく道であり、他人を裁いていく道でもあります。他人との差を立てて自らを確認していく道ですから、当然知らないこと・出来ないこと・負けることは、死ぬことと等しい恥ということとなります。ですからいつも緊張し、他人を馬鹿にした分、他人からも馬鹿にされないようにと、ガードを固めて心を氷のようにしていく道です。もちろん負けられませんので、知らないことも知ったかぶりをし、出来ないことには言い訳をし、負けるが勝ちと理屈をいう心で生きているので、不安で空しい心を抱えて生きることともなります。

それに対してお念仏申す道は、私の本性は善いところなど一つもない、怖い心で生きていることを知らせてくださって、自分のありのままの姿をそのままに受け取らさせていただく道でもあります。

その本当の姿を知らせんがために、仏さまは嫌な人、苦手な人となって、十重二十重に取り囲んではご苦労なさっておられます。

また、今まで見たくないと思っていた心、嫌がっていた心、善い人間と思われなくては見捨てられてしまうのではないか、と思っていた不安な心がお念仏の心に出会って溶かされる道でもあります。

本当にとんでもない心が縁を待って起こってくださり、私にまでなってご苦労くださっている法蔵菩薩さまの御声が聞こえてくる道でもあります。私も死ぬまでなくならないこの煩悩を消化してくださるお念仏の道を、皆さんに導かれながら、ひと筋に歩ませていただこうと思います。