029ありのままに

鈴木律子

私は座右の銘とか、好きな言葉はと問われると、「ありのままに」と答えています。

近頃、足が痛い、腰が痛い、肩が凝ると言いながら、家事や草取りができないと、不平を言っています。どこの整形が良いとか、あそこの総合病院に新しい医療器具が入って良いと聞けば病院を変えて診療を受け、投薬されるのは痛み止めと胃腸薬それにシップ薬です。痛み止めを飲めば、痛みは和らぎますが胃の具合が悪くなり、とても飲み続けられません。ある時、3箇所の病院の薬を見比べて見ましたところ、同じ薬が処方されていました。

医者に申しますと「その薬はよく効くし、出しやすいので、どこの病院も用いるのですね、胃の調子が悪いときは、飲むのを控えてください。足の痛みは加齢によるものです。正座をしないよう、草取りをしないようにして大切にしてください」と申されたので、即座に正座と草取りは私の仕事ですと申していました。「ありのままに」生きると申しておりますが、先生のおっしゃることもそのまま聞こえず、また、いずれの治療が良いと聞けば耳を傾け、あちらの温泉が良いと聞けばうなずき、「ありのまま」とは私の気の向くまま、気の済むままと、我がままに流されています。

寺の坊守として、聞法の場に居ながら、聞法から一番遠いところに居る私でございました。お彼岸、報恩講と、門徒の皆さんに準備をして聞法の場を用意している私と思い上がっていましたが、私のために準備し用意してくださっている、法話であり聞法の場でありました。