仏事Q&A

「葬儀」編

Q1 なぜ葬儀を勤めなければならないのでしょうか?

Answer
亡き人を仏さまとして出会いなおす大切な機縁が葬儀です。亡き人との別れの場を大切に勤めることは、旧石器時代から行われている人類だけの大切な文化(宗教的行為)です。葬儀がお別れの場ということには、二重の意味があります。
まず一つ目は、「浄土へ還る方を見送る」という意味。
二つ目には、「残された人々が大切な方への死を受け止める」という意味です。
葬儀は亡くなられた方を送るだけでなく、残された人の悲しみに寄り添うために行われるという意味合いもあるのです。ここで言う「残された人」とは、家族や親族だけではありません。生前交流があったすべての人にとっても悲しいお別れの時です。その悲しみを大切にするために葬儀が勤められてきました。
別れの悲しみは「死」を考える大切な機縁となります。死ぬ身を生きる私の姿を、亡き人が私に先立ち仏さまとなって教えてくださっています。その仏さまに出遇う場が葬儀です。

Q2 大切な方が亡くなられました。まず何をすればよいのでしょうか?

Answer
地域により風習が違いますので、まずはお手次のお寺の住職に相談しましょう。お寺と連絡がついたら、親戚など近しい方へご命終のお知らせ、生前お世話になった方への連絡などを行います。
ご遺体は自宅に帰られたら、お内仏の前に安置します。そこで、住職と家族揃って枕経(まくらぎょう)のお勤めをしましょう。

Q3 「告別式」とは葬儀のことでしょうか?

Answer
告別式は葬儀そのものではありません。
葬儀は、家族や親族が大切な方との最後のお別れをし、その死を悼むことをとおして「生きる」ことの大切さを学ぶ宗教行事です。
告別式は、亡き人と生前交流があった地域や職場の人たちがお別れをする社会儀礼です。できれば、社会儀礼に終わらず、共に死を悼む場になるよう願いたいものです。

Q4 亡くなられた方の枕元の線香は絶やしてはいけないとか、友引、清めの塩など、いろいろ風習がありますが、どう考えればいいでしょうか?

Answer
枕元のお線香は、仏さまを香りで荘厳するためのものです。お線香を絶やさないようにすることは、ご遺体から離れず、お別れの場を大切にしてほしいという願いの表現であり、亡き人に寄り添ってきた歴史が生み出した作法です。
また、友引や清めの塩などは迷心(迷信)です。そのような習俗にとらわれるのではなく、まずは葬儀をとおして、亡き人が仏さまとなって、私に何を語りかけてくださるのか、そこに耳を傾けてください。

「中陰(ちゅういん)」編

『中陰』とはどういう意味ですか?
お亡くなりになった日から数えて四十九日目までを「中陰」といい、七日目ごとに法要を勤めます。また、初めての命日は「初月忌(はつがっき)」といい、最後の四十九日(七七日)」は、満中陰として特別にお勤めします。
なお、最近では初七日法要を、還骨勤行(注1)の後に行うことが多いようですが、本来は七日後に勤めます。法要の日取りは、地域によって命日の前日から数えるなど様々ですから、お手次のお寺にお尋ねください。
こうして勤める中陰法要は、亡き人に対する追善のためでなく、むしろ遺族自身が悲しみを受け止め、、お念仏と出遇うための機縁となる法要です。

(注1)還骨勤行(かんこつごんぎょう)
火葬後、お骨を持ち帰り勤めるお参り。本来は自宅のお内仏で勤める。

「中陰」のお荘厳(おかざり)は?
「中陰」
中はお内仏(ないぶつ)の横に中陰壇を設けます。ともすれば中陰壇が中心になりがちですが、浄土真宗の中陰法要は、お内仏(お仏壇)で行います。まず白い打敷(うちしき)をかけ、仏花は本来「無色花(むしきか)」(注2)といって色花は使いません。ロウソクは白の和ロウソクが望ましく、お仏飯はお内仏と中陰壇、両方に備えます。なお、灯りや線香をたやすと死者が迷うというのは迷信です。
中陰壇は四十九日が過ぎたら片づけます。お内仏(お仏壇)も普段のお荘厳に戻します。
お内仏(お仏壇)は真実の拠り所となる仏様(ご本尊)を中心に、そのお心とお浄土を味わうところです。皆で手を合わせ、お勤めをして、日頃から親しむことが大切です。お内仏のない方はこれを機縁にご本尊をお迎えすることをおすすめします。地域によって違いもありますので、お荘厳(おかざり)についてわからないことはご住職にご相談ください。

(注2)無色花
「いろばななし」といって、まさき、あおき、あせびなどを用います。

Q1 四十九日が三ヵ月にわたるといけないのですか?

Answer
四十九日が三ヵ月にわたっても問題ありません。「始終九(四十九)が身(三)につく」という語呂合わせによる迷信からです。

Q2 「中陰」中にお盆・お正月が来たら?

Answer
「中陰」中にお盆やお正月が来ても、毎年のようにお勤めしてください。初盆でも他宗のように盆提灯を用いる風習は浄土真宗にはありません。

Q3 位牌の取り扱いは?

Answer
白木の位牌は、満中陰まで使うこともありますが、その後は使いません。なお、浄土真宗では「くりだし」等の位牌は用いず、法名軸、もしくは過去帳を用いることをすすめております。

Q4 「中陰」中に神社に参ってもいいですか?

Answer
「中陰」中に限らず「健康でありますように」とか「希望の会社や学校に入れますように」と、願い事のために神社に出かけることが多いようですが、日頃より、確かな依り処となるお念仏を味わってみましょう。

Q5 「永代経」って何ですか?

Answer
「永代経」とは、永代にわたって、読経というかたちで仏さまの言葉(教え)に、私と私に続く縁のある人たちが出遇い続けていくお仏事です。それは私に先立って人生を歩み、人生を終えていかれた大切な方々の「死」をご縁にして、仏さまの教えに身を据えて、私を学ばせていただくことです。
永代経法要は、「私に、人として生きるとはどういうことか教えてくださる仏さま」と遇わせていただく尊いご縁です。
永代経法要へのお参りをとおして、「仏さま」の教えに遇い、本当の「自分」に出遇っていただきたいと願っております。

「法事」編

『真宗の法事』
法事とは、一般的には先祖や両親などの命日に営まれる「法要」を指し、死者の冥福を祈る場と理解されていますが、それだけの意味でしょうか。本来は亡き人を縁として、阿弥陀さまに合掌礼拝し念仏を称える場こそが法事なのです。
亡き人は生前中、喜びや悲しみ、苦悩を抱えて生涯を送られました。世間的には幸せとか不幸せとか価値をつけることもできますが、
一度きりの人生に良し悪しをいうことは失礼にならないでしょうか。
阿弥陀さまは、私たちの人生の苦しみに大切な意味を見い出し、その苦に応えて本願を建てられました。その願いに出遇い、念仏申す生活を始める出発点として、大切にお経とご法話をいただきましょう。

『命日』
私たちは誰かが亡くなった日のことを命日といいます。役所へ行けば、たいてい、死亡年月日といいます。さて、それでは、なぜ「命日」というのでしょうか。
「命日」は、命の日と書きます。これは、私どもに先立って亡くなった方が残していってくださった本当の「贈りもの」だと思います。命日をご縁に仏事を勤め、その仏事に出席した私どもに、「どうか、あなたがこの世に生を受けた、その命の意味について明らかにしてほしい」と、問いを投げかけられているということ、それが「贈りもの」という意味です。法事はいのちの意味をあきらかにする日です。
渡邊 晃純(2001年度『真宗の生活』東本願寺出版)

『お内仏の荘厳(おかざり)』
打敷(うちしき)を掛け、供
笥(くげ)にお華束(けぞく)という丸餅を備え、赤(朱)色の和ろうそくを用意しましょう。
他は普段どおりのお仏供(ぶっく)お仏飯(ぶっぱん)=ご飯、華瓶(けびょう)にシキミ、花瓶にお花を供えましょう。線香、焼香用の抹香(まっこう)も必要です。

Q1 法事は命日から遅らせてはいけないの?

Answer
一般に「法事は遅らせてはいけない」というのは、うっかりしてご法事を忘れるようなことがあってはならない、早めに考えるようにという戒めとして、昔から言い伝えられてきたのではないでしょうか。遅らせたからといって何か問題があるということではありません。

Q2 年忌法要の数え方は?

Answer
亡くなられた
翌年が一周忌、その翌年(2年後)が三回忌です。三回忌以降は亡くなられた年を含めて数え、七回忌、十三回忌…五十回忌と続きます。(地域により数え方の習慣が異なります)
詳しくはお手次のお寺にお尋ねください。

 

 

 

真宗大谷派(東本願寺)三重教区・桑名別院本統寺の公式ホームページです。