027ハンセン病問題に学ぶ

鈴木勘吾

先日、「真宗大谷派ハンセン病問題に関する懇談会」の総会があり、その中で、全国の療養所の回復者に行われたアンケートの紹介があり、入所者の約50%の方が「園名」を、現在も名乗られていると報告がありました。

「園名」とは、療養所に入所と同時につけられる「新しい名前」のことです。

「入所者をして社会内に存在することの許されないものとして自己認識を強いるもの」。と、2001年の国家賠償訴訟熊本地方裁判所の判決が示すように、それは、今までの名前を捨てさせ、療養所で暮らすことを覚悟させる、過去の生活、自分自身を捨て、一生を別人として生きてゆくことを強要する象徴でもあります。

「らい予防法」の廃止、「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律」、通称、ハンセン病問題基本法が制定され、国や地方自治体の政策が遂行され、啓発活動などが推進されています。が、これまで一世紀に及ぶ隔離政策は大きな壁を作り上げました。法律の壁、政策の壁、市民の差別・無関心の壁、中でも市民の差別や無関心の壁は、回復者の方たちに大きな不安とあきらめを与え続けています。

この差別の壁を取り除くことが、私たちの喫緊の課題です。

回復者の一人ひとりと出会ってゆくこと。相手の顔が見えるような出会いを創り出してゆくこと。

回復者は「特別な人」という状況から、「同じ人間」であるという関係を取り戻すことが願われています。

「あらゆる人々を同朋として見出す」

これは宗祖親鸞聖人七百五十回御遠忌法要に向けての「基本方針」の一節です。しかしこの言葉の背景には、何よりもあらゆる人々を同朋として見出せなかった長い時代があることを、私たちは忘れてはならないと思います。

ハンセン病問題に取り組むことは、同朋を見出し、ともに人間であることを回復する道を歩むことに他ならないと私は思います。