001先祖供養 

磯野恵昭

今年もお念仏申せる新しい年をお迎えのこととお喜び申し上げます。
先日、ある宗教新聞に儒教の専門家が「日本では昔から先祖供養といって、それが仏教の教えからできているように思っているが、先祖供養は儒教の問題です」と書かれておられました。

なるほど倫理・道徳の教えである儒教は、人間の道として、親や先祖への孝行を説かれたものですから、親の命日はおろそかにしません。父の命日には父の、母の命日には母の位牌をまつり、家族そろって未だ生きているかのごとく捧げ物をしご挨拶をして、丁寧に儀式を行います。ただし、儀式・儀礼は行うことに意味があり終われば終了です。しかし、仏教の儀式は行儀であります。行儀とは聞法し残った人皆が目覚めの方向へ歩む人生にと導かれることであり、それが法事の意味でもあります。

その専門家は続いてこうも書かれておられました。「もう一つの違いは、儒教では位牌を置いて亡くなったその人をまつりますが、仏教には本尊があります」と。そんな仏教と儒教の違いを示された最後に「だから仏教は本来の仏教に立ち返ってください」と締めくくられておられました。

どうか亡き人の死を他人事にせず、私の生き方の上に生かしていく受け取り方をしていただき、本来の仏教に立ち返ってくださる歩みにしていただきたいと思います。