020病から教わったこと

海老原章

ちょうど1ヶ月程前のことです。朝起きてみると、自分の右肩が痛く、時間が経過するにつれてその痛みが段々ひどくなり、日常生活をすることもままならなくなってきました。
翌日、その痛みに耐えがたく、整形外科の先生に診察してもらった所、結果は「肩の関節に石灰がたまり、それが原因で炎症を起こしている」ということでした。その場は、その関節にたまった石灰を溶かす注射を打ってもらい、痛み止めの薬をもらって帰宅しました。

その後、注射と痛め止めの薬の効果もあってか、痛みは徐々に消え、日を重ねるごとに右肩の調子もよくなっていきました。

病にかかっていた時は、私自身、その痛みや身体の不自由さを受け入れることができず、早く元に戻して欲しいと思うばかりでした。今にして思えば「早く元に戻して欲しい」という思いは、実は今まで何の不自由さも感じず、身体のどこかに痛みもなく、自分自身の思うように身体を動かせることが、何の疑いもなく当然のこと、当たり前のこととして考えていたということであったように思います。

その当たり前のこと、当然のことのように思っていた「自分の思いや計らい」とい自己主張を、これまで幾度となく繰り返してきたような気がしています。しかし、それがかえって自分自身というものを苦しめてきたのではないだろうかと思えてなりません。

この私に降りかかった突然の病によって、少しだけ「我が身」が照らし出されたような気がします。しかし、現在の私は、その時の痛みや身体の不自由さも忘れ、毎日を惰性のように無駄に過ごしているような気がしています。