028出会いの力

大橋宏雄

今年も福島の子どもたちと8日間、三重県での夏休みを過ごしました。2012年から始まった「福島のこどもたちを三重へ」プロジェクトも3年目になり、毎年参加してくれる子、今年初めての子と様々な出会いがあります。

しかし私は、昨年、一昨年と子どもたちとの出会いをどこか喜べずにいました。それは私たちの出会いはどこまでも震災・原発事故を背景とした出会いだからです。出会わずに済んでいれば、それが一番よかった。どうしてもそう思わずにはいられませんでした。しかし、今年子どもたちが福島へ帰る日の朝、「この子たちに出会えてよかった」と自然に思っていました。

私にそう思わせてくれたのは、福島と三重の子どもたち同士の出会いでした。キャンプをはじめ様々な日程を一緒に過ごす中に、子どもたち同士、素直に出会いを喜ぶ姿がありました。その姿に触れて、私の中にある強張りが和らいだような気がしました。

子どもたちが教えてくれたのは、悲しみや苦しみは出会いを否定するものではないのだということです。悲しみも苦しみもあっては欲しくないものです。しかしその悲しみ苦しみがその出会いを、深く豊かなものにしているということがあるように思うのです。

「悲しいことも、苦しいことも、それは私たちの思いを超えてやってくる如来のお仕事である。そのことを明確に知るとき、悲しみと苦しみを如来に捧げるとき、悲しみは微笑みといっしょにお前を訪れる。苦しみは勇気を携えてお前のところにやってくる」

(『ー日々の糧ー清沢満之とともに』)

とは先人の言葉です。

私はこの言葉に触れるとき、きらきらとした光を感じます。それは子どもたち同士が出会いを喜ぶ姿に感じる光と重なって、私を照らしてくれているように感じています。