007お念仏

折戸沙紀子

昨年、本山にて、(宗祖親鸞聖人七百五十回御遠忌御正当)報恩講が終わった11月29日に、阿弥陀堂御修復のための御本尊動座式が行われました。全国各地より、この御本尊動座式を参拝しようと、二千人もの方々が本山に上山されました。私も自坊より団体参拝させていただきました。

御本尊が動座されることは珍しい事ですから、私はどこかワクワクしながら、式が始まるのを待っていました。

阿弥陀堂での勤行が終わり、御影堂(ごえいどう)に御本尊が移されます。私は今か今かと、御本尊が自分の前を通過するのを待っていました。そのとき、前方に参拝されている人たちの姿が私の目に留まりました。その方たちは、目の前を通る御本尊に対して深々と頭を下げて合掌をしておられたのです。そして、そこからは「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」の声が起こり、そのお念仏の声は御影堂に響いていました。

私はこの時、自分が御遠忌というものを、ただのイベントとして見ていたことに気がつきました。御遠忌とは、たくさんの人が集まり、皆で念仏を称えるイベントであると。

しかし、今回、私自身が御遠忌に参拝をし、多くの方を通じて、いろいろな念仏の称え方があることを知りました。そして、私が称えていた念仏よりも、より深い念仏を感じることもできました。

今、改めて思うことは、私にとっての御遠忌とは、お念仏を称えることの意味を振り返るご縁であったのではないか、ということです。

2014年春、桑名別院での宗祖親鸞聖人七百五十回御遠忌が計画されております。

参拝にみえる方々は、性別も、年齢も、暮らす環境も、それぞれ違います。それぞれの方にお念仏に出遇っていただき、また、自分の称えるお念仏を振り返ってもらいたいと思います。