021人生とは

加藤淳

みなさんにとって「人生とは」と尋ねられたら、どう表現されますか?こういうことを日常の生活の中で考える機会は少ないかもしれません。

ワールドカップサッカーの日本代表チームの中心的な存在であった中田英寿選手は、ブラジル戦を最後に自身のホームページを通して『人生とは旅であり、旅とは人生である』というタイトルで引退声明文を出されました。サッカーという旅に出て、喜び、悲しみ、そして試練を与えてくれて、そのことが素晴らしい経験となり糧となり、自分自身を成長させてくれたことが書かれていました。この文章が素晴らしいということで、中学校の道徳の授業に使いたいという依頼が多いようです。

また、現在映画館で上映しているタレントである島田洋七さんの脚本「佐賀のがばいばあちゃん」の本の中に「人生は死ぬまでの暇つぶし、暇つぶしをしながら金もらえるのは仕事だけ」というおばあさんの言葉があり「人生とは」それぞれの立場でいろんな表現をすることができると思いました。

以前、話題になったファンド会社の社長は「お金を儲けることは悪いことですか。お金を儲けたから嫌われた」と記者会見をしました。もちろんお金はないよりもある方が誰もが嬉しいでしょう。私たちは幸せになりたい、豊かになりたいという思いで日常生活を送っています。そして、欲しいものを手に入れたいと、止まることのない欲求を満足するために努力しています。

私の人生は、良いか悪いか、損か得か、好きか嫌いか、目の前にある要求をこなすことしか考えていないようです。

仏教では「人生は苦である」と受けとめます。同じ菰野町の大先輩である訓覇信雄さんは「生きている人間が死ぬのであって、動いている人間は壊れるだけや」という言葉を残されました。人生を楽しむことだけでなく、この現実を受けとめていくことが大切なことではないでしょうか。