002いのち

折戸恒夫

三重教区のみなさん、今日はテレホン法話でみなさまにお話をするという機会を与えられました。未だ勉強中、若輩の身でおこがましいと思うことしきりですが、新しい年を迎えました今、強く感じていることについて申し上げます。

宗祖御遠忌テーマに「今、いのちがあなたを生きている」と掲げられ、昨年末には昨年を代表する漢字が「命」と決まりました。一つしかない大切な命、かけがえのない地球より重いとまで言われる命を、弄(もてあそ)び、絶つ事案、事件の数々。親が子を、子が親をさしたる理由もなく殺し、飲酒運転による度重なる死亡事故。外に目をやれば、テロと報復の応酬による限りない殺戮(さつりく)等枚挙に暇(いとま)がありません。悲しむべき、許し難い犯罪なのであります。この現状に私たちは目を覆っているだけ、嘆いているばかりではいけません。荒(すさ)ぶ心を癒し、危険にさらされている命を救い、安心安全な社会・世の中とするため、座視することなく立ち上がらなければなりません。誰一人として被害者となり、また加害者としてしまうことは許されないのであります。

宗派、教区、組、寺の内にこもって平穏無事を享受しているだけでなく、親鸞聖人の教えをいただき、そして命を救うために積極的に街頭に、諸会合に出て、説話し、語りかけ、公開の講座を数多く開催する。効果的な音楽法要により視聴者に念仏の教えを訴える等して、広く人の心を救い、人心を安定させて、忌まわしい犯罪のない、広く、大きく、暖かい社会の実現に多大な貢献をすることが現在の急務であると、思料するものであります。

思いのままに申しましたが、私はお念仏の教えをいただき続ける生活を通して、命の大切さが次世代にしっかりと引き継がれるよう願うばかりです。